仮想化はコンピュータ利用の柔軟性を高め、コストを削減する画期的な技術。サーバー仮想化技術を使えば、コンピュータの台数を減らすととともに、プログラムに割り当てるリソースを自由に増減できます・・・・・

これが仮想化システムの売り文句。

仮想化そのものは、数十年の歴史が有り、今・・何故仮想化なのか?ハードウェアの性能が飛躍的に上がりサーバーを使い切っていないサーバーを集約しコスト削減を実現する目論見の様です。CPU、メモリ、ネットワーク、ストレージと仮想化の対象となるハードは多い中、ユーザーはまずサーバーの集約を試みる事をお薦めします。

サーバーの集約を目的とした仮想化を検討する場合、サーバーの平均使用率が取上げられるでしょうが、この数値が低いからといって安易に仮想化対象とするのは危険です。ピーク時の使用率と時間帯、サービス内容(リクエストは必ず受け付ける必要が有る場合などの用途)を検討する必要が有ります。顧客に対してのWEBサービスなどは基本的に対象外(高性能サーバーに置き換えて再構築する場合でもリスクは高い)
また、メールサーバーなどについてもピーク時でCPU負荷やメモリ使用率が40%以下で無ければ対象外です。そもそもメールサーバーソフトが仮想化に対応していない場合も多々有ります。

この様に対象を検討していくと社内システムでの文書管理サーバーや社内業務サーバー、もしくは各種システム導入時のサイジングが適切ではなく過大な性能を持つサーバーを導入している場合などが対象になります。

再構築や新規導入時には、クリティカルな要件を持たない機能サーバーを仮想化により多重化して導入するなどです。

仮想化システムを導入してサーバー機能を物理的に集約する場合は、その物理サーバーがダウンした場合にフェイルオーバーして待機している仮想化サーバーに引継げるような設計が必要です。(仮想化を2重化してシステムダウンを回避する)

さらに仮想化システム導入では、仮想化の対象となるサーバー機能で利用するミドルウェアやドライバーなどのソフトが仮想化に対応出来るものなのかを明確にする必要があります。ドングルなどを使用するセキュリティソフトが有れば仮想化の対象外となります。

ドメインコントローラについては、基本的に仮想化すべきでないと考えておく事も必要です。サーバーをクラスタ化している場合は、仮想化による集約は集約しすぎるとクラスタ化の意味が無くなる。

等々、仮想化の導入にあたっては事前に調査する事項が多い事も認識して計画を立てる事をお薦めします。

仮想化による導入コストメリットも重要ですが見方を変えると消費電力や設備投資、設置スペースなど運用面でのメリットも大きく何よりCO2削減に貢献します。ある試算では、x86サーバー1台当たり年間700kwhの電力消費となりCO2排出量で算出すると年間4トンにも及び自動車で比較すると1.5台分のCO2排出に同等だそうです。

私の周りで最も良く耳にする仮想化ソフトウェアは、このVMwareです。企業でサーバーの仮想化導入する場合は、VMwareInfrastructureという製品でハイパーバイザー型のソフトです。(VMwareServerはホスト型なのでホストOSの管理下でゲストOSが稼動しますがハイパーバイザー型は、ホストOSはなくVMkarnelの配下でゲストOSが稼するので信頼性や独立性が良いと考えられています。

この仮想化ソリューションで中心的なソフトウェアをVMwareESXと言います。ESXでは汎用的なOSでのサービスコンソールが動作しますがESXiという製品では、この汎用OSを必要としないものが提供されています。汎用OSが無い分信頼性やセキュリティ上の脆弱性の多くが解消されます。

ESXiには通常のインストール形式の他にベンダーがサーバーに組み込んで出荷するものも有ります。また、ESXiは無償で提供されているので利用しやすく仮想化導入を考えるユーザーにとっては、試用が手軽で普及を促進しています。

VMwareInfrastructure
ESXを主力に仮想環境を包括的に管理する様々なコンポーネントが用意されています。ESXと並んで重要なコンポーネントは仮想ファイルシステム(VMFS)と仮想環境管理ソフト(VirtualCenter)の2つです。

VMFSは仮想マシン用に最適化されたクラスタファイルシステムで複数のESXでストレージを共有出来る様にします。VirtualCenterは、複数のESXや仮想マシンの運用管理を自動化したりリソースの最適化、仮想マシンの正確なコピー作成などの機能を持っています。

上記以外にも実行中の仮想マシンを別のESXに移動するVMotionやストレージ管理用のStorageVMotion、ESXの多重化機能を提供するHA、統合バックアップ機能など通常のシステムで必要なシステム管理機能の仮想化バージョンを提供しています。

次回からはもう少しVMwareInfrastructureの内容について投稿し仮想化の連載を行う予定です。

  2010/2/19 編集


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